日本人としてシリコンバレーで思うこと
早くも9月となりました。アメリカに転籍して10ヶ月が経ちました。今年は時間の流れが早いです。
シリコンバレーで働いていると、日本から訪れる様々な企業の方とお会いする機会があります。日本では、CVC(Corporate Venture Capital)という、事業会社のなかに投資部門をつくり、アメリカに投資をすることが流行っているようです。
しかし、トップVCのひしめくアメリカのスタートアップに投資をするには、1)コネクションがあること、2)スタートアップに付加価値を提供することが重要であり、なかなかお金があっても投資先を探すことは難しい。
そこで、日本企業は、LP(有限事業組合)としてシリコンバレーのVCを介して投資を行うわけですが、
- 投資回収のサイクルが、日本企業担当者の在籍サイクルに対して長いため、担当者はあまり投資回収を意識していない。ある大企業の担当者は、これはシリコンバレーの勉強代ですと言っていた。
- VCは投資額の数パーセントを手数料として微収しているため、一定のキャッシュフローがある。日本企業担当に米国MBAを卒業した日本人を窓口として雇っている
という事情を目撃したりします。
そんな中でも、Softbankは、事業会社でありながら直接、トップスタートアップに投資ができる特殊な存在であり、アメリカで大成功を納めているVCのひとつと言えるでしょう。
2017年だけでも、Googleの親会社であるAlphabetから、Boston Dynamicsを買収したり、Uberに80-100億ドル投資したり、Weworkに44億ドル投資したり、凄いです。
大きな違いは、グローバルなリーダーシップチームでしょう。ソフトバンクの取締役会は、11人中、日本人は4人だけです。つまり取締役会の資料、会議は当然英語なわけで、そこをまとめる孫正義という強い個が大いに寄与していると思います。
昨晩は、誰もが恐れ入る外資系戦略コンサル日本支社長、最強外資系プライベートエクイティファンド代表を勤めた方と食事に行く機会がありました。中国人、韓国人と比べて、圧倒的にグローバルで活躍する日本人が少ないのはなぜか、まだ明確な解/insightと打ち手は見つかっていないという結論でした。また、意外なことにストラテジー、ファイナンスはいいから、伝える力を鍛えることがとても重要、とのアドバイスを頂きました。
元ソニー米国社長であった盛田昭夫の1964年の文藝春秋への寄稿論文は、とても心にささります。ぜひ、ご一読をオススメします。
ソニー創業者・盛田昭夫が53年前に提唱した「働かない重役追放論」 | 文春アーカイブス | 文春オンライン
おやすみなさい。